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「あ、そうそう! 蜂谷はまだ言ってないと思うけど、俺たち男子校だったんだよ、高校の時」
「え、じゃあ、高校生の時からの付き合い?」
「ううん、小学校の時からだよ」
「そうなんだ…長いね」
「こいつ、その時から女子と話すの苦手でさー」
「……あー」
ということは、女の子に慣れてないのはトラウマとかじゃなくて、生まれつきということになる。
ちらり、と蜂谷さんを横目で盗み見ると、彼は顔を赤らめながら右手の手の甲を口元にあてて「……皆川許さねえ」と呟いた。
なんだか可愛かったので、私は彼に気付かれぬように顔を逸らして笑った。
「あ、でさ。なんで蜂谷今日遅れたん?」
「そっか、言ってなかったか。マンションのエレベーターが誤作動を起こして遅れたんだけど……」
「折原さんと一緒に乗ってたの?」
「そう」
「あ、じゃあ折原さんも講義……」
「逃しました……見事に」
「やっぱりか。折原さんと同じ学科のやつで知り合いがいるから、そうかなーって」
「え、誰ですか?」
って、私、学科答えたっけ、さっき。言ってないような……。
あれれ、と首を傾げていると、皆川くんがにこりと笑う。
「もうすぐで来ると思うよ。……って、待って、それじゃあ二人は同じマンションなんだ?」
「……そうなります」
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