忘れ物から発展する奇跡

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早苗の教室は3年2組で席は一番後ろの窓側だった。 「もう最悪!せっかく楽しみにしていたのに、CDを忘れるなんて…。」 早苗はブツブツ言いながら教室に入った。 「あれ?私の席に眼鏡??」 早苗は自分の机に置かれていた眼鏡を手にした。 「誰のだろう?」 眼鏡と睨めっこしているとガタッと音がしたので廊下側を見ると。 「あっ!あった!?」 「えっ?」 「ソレ俺の眼鏡!!」 「貴方の眼鏡?」 「やっぱり忘れてたよ…って何で俺の教室に居るの?」 「えっ?」 「此処、俺の教室でコノ机は俺の机!」 突然教室に入って来た男子生徒は早苗に近寄りながら早苗の手から眼鏡を取った。 「此処は3年3組だよ?」 「えっ?違うよ、此処は3年2組でコノ席は私の席だよ!」 早苗は突然初対面の男子生徒から言い掛かりをつけられたと感じてイラっとしながら否定をした。 「此処は3年3組だ!」 「じゃー廊下に出て確かめましょ!」 早苗と男子生徒は一緒に教室をでて表札を目にした。 「ほら!やっぱり3年2組じゃない!」 「あれ?本当だ!じゃー何で木嶋さんの席にあったんだろ?」 「それはコッチが聞きたいわよ!」 早苗の机に置かれた眼鏡。 いったい何故? そんな疑問を抱きながら早苗は再び教室に入って自分の机に戻った。 「貴方の名前は?」 「俺は田川 博樹(タガワ ヒロキ)。」 早苗は机の中から借りたCDを出して鞄に入れた。 「じゃー田川くん私帰る。」 早苗は何故 博樹の眼鏡が自分の机に置かれていたのか少し気になったが正直どうでもよかった。CDをちゃんと回収出来たし後は友達が待ってる雑貨屋に向かうだけ。 だから早苗は博樹にバイバイして教室を出ようっとした。 「あっ!思い出した!?」 「何?突然…。」 「何でコノ眼鏡が木嶋さんの机にあったか!」 「そう。それは良かったね。」 「良かったねって気にならないの?」 「特に…」 早苗はケロッとした表情で答える様子を見て博樹は早苗の腕を掴んで。 「ちょっとは気にしろよ!」 「何で?私は、自分の忘れ物を無事に回収出来たし後は雑貨屋に向かうだけだから田川くんの眼鏡が何処にあったって私には関係ないの!」
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