先輩

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 今日のホームルームが終わり、部室へと足を運ぶ。  そこには夕日をバックにして本を読んでいる先輩がいる。 「あれ、先輩今日は眼鏡着けてるんですね」 「ええ。コンタクトレンズの替えが無くなってしまって」  そう言って先輩は眼鏡をくいっとわざとらしく持ち上げた。  その仕草を見てついこんな言葉をこぼしてしまう。 「眼鏡似合ってますね」 「……君がそんなことを言うなんて珍しいわね」 「すみません。気に障りましたか」 「いいえ、そんなことはないわ。むしろ言われたことがないからうれしい。ありがとう」  思ったことを言っただけなのにこんなに喜んでくれるとは思っていなかった。 「眼鏡グッジョブ」 「なにか言ったかしら」 「別になにも言ってないですよ」 「そう」  先輩は再び本を読みだす。  俺はその隣で今日やった授業の教科書やらノートやらを取り出し、復習を始める。  それがいつもの日常。  たまにわからないところを先輩に教わりながら過ごすこの時間が一番好きだ。 「先輩今日もありがとうございました」 「こちらこそ」 「ではまた明日」 「ええ、さようなら」  夕日もかなり落ちてきたころに俺と先輩は学校から出て別れる。  先輩はまたコンタクトレンズにもどしてしまうだろうか。それともまた眼鏡だろうか。  先輩に思いを馳せながら今日が終わり再び明日になる。  それの繰り返しを楽しみながら俺は今日を生きている。
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