第1章 一泊二日

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桜が散ったばかりの5月上旬、高校二年の 三上直也(みかみなおや)は、 ゴールデンウイークの連休を利用して、 一泊二日の旅行に出掛けた。1人では無く、 恋人の桐山有香(きりやまゆか) と一緒だ。 2人は幼馴染みで、小学校時代からの 付き合いだ。 家は近く、家族ぐるみの間柄である。 お互いに話しが合い、ウマが合う。 そんな関係からか、よく2人で海に 行ったり、山に出掛けていた。 直也も有香も17歳になったばかりだが、 最近妙な物に興味を抱く様になった。 それは、コックリさんである。 直也が小学生の頃、教室中にコックリさん が流行していたのである。 一枚の紙に50音順のひらがなを書き、 その下に『はい』と『いいえ』を 書くのである。 紙の真ん中に10円玉を置き、2人が 人差し指で軽く硬貨を押さえると、 10円玉が移動しながら質問に 答えていく手法だ。 「コックリさん、コックリさん 教えてください」 2人がリズミカルに呪文を唱えると、 ひとりでに硬貨が動くのである。 直也と有香は、ドキドキしながら 10円玉の行方を追う。 他のみんなも4人がかたまり、 異口同音に呪文を唱える。
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