第1章 一泊二日

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祖母はまた、2人の前に戻って来た。 2人が身を乗り出す。 「オニサブロー様の御告げじゃ、 毎日のコックリさんプレイはマズイ」 「おばあさんの言う通りだわ」 納得した様に、頷く有香。 「有香さんとやら、余りクヨクヨ 考えぬ事じゃ。 常日頃クヨクヨ悶々としていると、 その様な霊界を作ってしまうでな。 悪霊はいつもイライラして暗い気分で 過ごしておる、人間も暗く沈んでいると、 仲間だと思い寄ってきて取り憑いて しまうのじゃ」 「有香さんも、悩みが多いから・・・」 直也が気遣い、そっと有香を観る。 「霊界はあの世だけで無く、この世も 霊界なのじゃ」 祖母の言葉に、顔を合わせる2人。 「霊を追い出すには?」 「それは感謝と喜びの気持ちを持つ事、 嬉しい時も悲しい時も、全てに 喜ぶのじゃ。全てに感謝するのじゃ、 決して目を背けてはならん。 人間の不幸は全て欲からきておる、 人間の最大の敵は、己自身の 愚痴や不平不満なんじゃ」 直也が、キョトンとする。 「まだお前達には分からんかも知らんが、 いずれ分かる様になる。 キリストは人は罪の子だと言ったが、 人は喜びの子なのじゃ。 人間喜べば、神様も嬉しいものよ」 水を打った様に静まり返る部屋。 「そなたも、もっと朗らかになりなさい。 周りの人に喜びを与えなさい、 そうすれば、希望が見えてくるじゃろう。 悪霊も、スタコラサッサと逃げて 行くぞよ」 有香の顔がハッキリと変化して来た。
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