プロローグ

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その日、少年は初めて冒険をした。 今まで車の中で通り過ぎるだけだった町を自分の足で歩いた。 石畳の道沿いには沢山の店が並び、少年の目にはどれも珍しく、キラキラと輝いて見えた。 あちこち店を覗き見しているうちに今いる場所が分からなくなった。足は疲れてきたし、最悪な事に雨がポツリポツリと降り始めた。 知っている人間が誰もいない町の片隅で心細くなった少年は、雨宿りの出来る店の軒先で小さく蹲った。 これからどうしよう……。 きっと勝手に出てきたから家の人間が心配して慌てているだろう。もしかしたら自分のせいで運転手の嶋が怒られているかもしれない。 考えれば考える程、泣きたくなってきた。まるで雨が自分の気持ちを表しているようだった。
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