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九条誠(クジョウ マコト)は将来を有望視された子供だった。 華族の中でも公爵位を持ち、幼い頃より英才教育を受け、十二歳にして神童とまで言われた。 しかしそんな彼も中身は只の子供だった。 閉鎖された世界の外をどうしても見てみたかった。 あの日、いつも送迎をする車から見つからないように学校から外に抜け、町を歩いた。そして迷子になり辿り着いた先がその店だった。 カフェ『クリスタルドロップス』 あの日、誠に声を掛けたのは久遠(クオン)と言う名前のそのカフェの店員だった。 店内へ通され、暖かいココアをご馳走になり、その店のオーナーだと言う男に自宅へ連絡を入れてもらい無事に迎えが来て帰宅出来た。 迎えを待つ間、初めて入ったカフェで久遠の働く姿をじっと見ていた。
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