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久遠は何をするにも何処か抜けていて、誠が迎えを待つの少しの時間で皿を三枚割った。
更に、お客様に出すコーヒーを躓いて落としたり、お水を零したりと、見事なまでに失敗を繰り返した。
何回も他の従業員に怒られてはシュンとした顔をして、それでも次の瞬間には笑って接客をしていた。
誠にも何度も声を掛けては笑顔を見せた。
自分の周りには学校以外には大人しかいなかった誠にとって、久遠は大人なのに子供みたいに感じた。
いつも険しい顔ばかりの大人しか見てこなかった。
そんな誠にとって久遠は珍しい大人で、とても気になった。
もっと沢山、話してみたいと思った。
何よりその綺麗な瞳で自分に笑いかけて欲しいと。
普段、休日の自由な時間に外出など殆どしなかった誠がその店に行くようになったのはそんな出逢いがあったからだった。
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