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「最近、何処へ出掛けているんだ」
夕食の時間、向かい合わせで座る叔父の征志(セイジ)に問われ誠は食事の手を止めて俯いた。
征志は誠の父の弟で、この九条の家の事全般を取り仕切っている。
誠の父である正壱(セイイチ)は滅多に家には帰らず、たまに帰宅しても誠が就寝した時間だったりする。
その為、誠の教育の殆どは征志の指導の元、管理されていた。
学校から帰宅してからの時間は毎日、何かしらの家庭教師がやって来て学校では習わない語学や経営学等を教わる。
華族の跡取りとして産まれた者の運命なのだと疑問にも思わなかった。
いつか父から爵位を継いで、九条家を盛り立てていくのが自分の一生なのだと。
だから、叔父が誠に対して厳しいのも立派な跡取りに育てる為なのだと信じていた。
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