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「おまえの涙見てめー覚めたわ。
本命の彼女にしなけりゃ、傷つけねーなんてあるわけねーよな。
散々お袋が親父に泣かされてるの、見てきたのに。
んで、そのまま実家行って見合い断ったら親父に殴られた」
なぜか楽しそうな瀧村くんの声。
その絆創膏はお父さんに殴られた跡ですか?
「まあ、殴り返してやったけどな。
いままで女関係が派手なこと以外、従順だった俺が反抗してきてショックだったみたいよ?
尻餅ついて頬押さえて、しかも子犬みたいにぷるぷる震えて『勘当だー』だってさ」
愉快でたまんない、まるでそんなふうに瀧村くんは笑ってるけど、それって大変なことじゃないんでしょうか……。
肩に手が掛かって、くるっと後ろを向かされた。
「でもこれで、胸を張っておまえに云える。
……鈴華、好きだ。
俺と付き合って欲しい」
上から私を見つめてる瀧村くんの目を、レンズ越しに見つめ返した。
真剣なその瞳に、渇いた喉につばを飲み込む。
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