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「俺、結婚するんだ。
今日、見合いした相手と」
「……そう」
落ちた視線、カップを握ったままの私の手は細かく震えてる。
「親父が俺の人生に細かく指図してくるって云っただろ?
親父の連れてきた相手と結婚するしかないのはわかってた。
……だから」
だから、遊び女ばかりで、本命は作らなかったってこと?
「……じゃあ、セフレにして」
自分の口から出た意外な言葉。
そうか、私はこんな瀧村くんのこと。
「おまえとはそういう関係になりたくない」
「そんなの、勝手だよ!!」
「……わるい」
そっと、瀧村くんの手が私の顔にふれる。
目尻を親指が撫でて、初めて自分が泣いてるんだって気付いた。
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