眼鏡スイッチ

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「きっと、近いうちに会社も辞めることになると思う。 いまの会社に入ったのは、親父の云いなりになって唯一よかったことだな。 ……おまえに出会えたから」 「……私は出会いたくなかったよ」 「……そうだな」 そのままふたり、黙ってぬるくなったコーヒーを啜ってた。 ……ずっと根暗な瀧村くんしか知らなければ、こんな思いはしなかった。 私があの日、興味本位で瀧村くんの眼鏡を外したりしなければ、いまこんなに胸が痛むこともなかったのに。 カップが空になっても、まだ黙って座ってた。 周囲は騒がしいはずなのに、音なんてぜんぜん聞こえない。 そのうち、ふらりと瀧村くんが席を立った。 戻ってこないところをみると店を出たのだろう。 はぁっ、小さくため息をついて私も店を出た。   月曜日。
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