眼鏡スイッチ

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ふたりっきりの室内なんて耐えられない。 さっさと終わらせようと無言で作業を続けていると、がたんと目の前の棚が揺れた。 「無視かよ」 上から落ちてくる怒気を孕んだ瀧村くんの声。 私の視線少し上の棚板には逃がさないかのように腕が置かれてる。 「……もう、関係ないでしょ。 会社だってもうすぐ辞めるんだし」 冷静なふりして出した声は震えてて、みっともない。 ……はぁーっ、瀧村くんの口から落ちた深いため息が、私の髪を揺らした。 「何度もメッセ送ってんのに、おまえ、見ねーから」 見なかったらなんだって云うの? 「見合い、破談にしてきた。 というか親父の会社は継がねー」 「……は?」 いやいやいやいや、云ってることがさっぱり理解できません。
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