雨上がりの恋

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月明かりに照らされ彼と肩を並べて歩く。 久しいこの距離感をさらに縮めたくてお互いの指と指を絡ませ手を繋ぐ私達。 あの時、追いかけ取らなかった彼の手を、二度と離さないようしっかりと繋ぎ止める。 ほんの少し力が入ってしまった私の手を彼が更にぎゅっと握り返し、いつかのようにその指先に唇をそっと押し当てる。 ちょっとした、その行為にまた体の奥が熱くなる。 言葉なんていらない。 唇から指先に伝わる僅かな熱ですら私を蕩けさせてしまう。 雨はもう止んでいた。 見上げれば夜空に低く浮かぶストロベリームーン。 幸運の印だって何かで読んだことがある。 ちょうどいい、私の頬がさっきからずっと赤いのはこの月のせいだと言えるかも。 そんな可愛いことを思っている自分に呆れる。 だけど、簡単な事だった。 二年前…あれほど苦しんだ彼との恋は恐れず素直になる事でいとも簡単に私の心を本当の意味で解放した。 もちろん、それは一度失ったからこそ手に入れたものだけど。 目の前にいる彼が好き。 そして、彼も私の全てを含めて好きだと言ってくれている。 ただそれだけで、 ただそれだけの事なのに、心が強くなれる。 自分の弱さも強さに変えてくれる。
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