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「エロいのなんて置いてねえよ。」
「は?」
部屋で着替えを済ませたケンイチはいつものadidasのジャージに上はTシャツ姿だ。
「は?ってお前、人んちのテレビの下、ガン見してたじゃん。言っとくけどそこの引き出しにはやましい物は入っていないっ。」
どうやらボンヤリしていた私の目線はそこに注がれていたらしい。
ならば乗っかるか?
「大丈夫。黙っててあげるって。それに健全な男子はみんな見るものでしょ?」
「お前、決めつけんなって。だから、そこにあるのは俺のじゃなくて親父のーーー」
「えっ、ほんとに置いてるの?」
冗談だと…
「げっ、マジか…。お前、最悪。つか、もうその話いいからお前も着替えろ。ほれ。」
その話、もういいってあんたがその話振って来たんでしょうが。
っで、
「なに、これ?」
「なにって着替えだろ。お前も制服結構濡れてるし。風邪引くと困るだろ。」
「いいよ、その内、乾くって。」
「いいから、言うこと聞けって。ほら、俺の部屋でさっさと着替えて来い。」
半ば強引に渡された着替えを見るとやはりジャージにTシャツ。
「ありがと。」
ケンイチの部屋にて言われた通り着替える。
この部屋で着替えてるなんて…
「なんか…変な感じ。」
借りたハンガーに濡れた制服を掛けているとーーー
コンコンとドアが叩かれる。
「入ってもいいか?」
「えっ、あ、ああ、うん。」
お互いにノックなんてしたことないから何とも言えないむず痒さに耐えられない。
ちょこっと開いたドアの隙間からケンイチの顔が覗き込む。
着替えた私の姿を見て黙っまま固まるケンイチ。
「な、なに?」
「いや…、お前でも俺のはやっぱおっきいのな。」
「あ、ああ…」
私だってそこそこの身長はあるけれどやはり男の子のサイズは大きめになってしまう。
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