53人が本棚に入れています
本棚に追加
「これで分かった?」
聞いた事もないような甘い声でケンイチが囁く。
至近距離にケンイチの顔があって視線を外そうにも両頬をケンイチの手で覆われ逃げ場がない。
「お前さ、俺の事、好きだろ?」
「…っ、な、なによ。いきなり。」
未だ私の頬にはケンイチの手が添えられていて、その部分に急激に熱が集まっている事に気付かれやしないかハラハラする。
「何年の付き合いだと思ってる?お前の事、ずっと見てんだぞ俺は。分かるっつーの。」
そう言ってまた軽く唇を重ねるケンイチ。
何度も何度も角度を変えては甘噛みされる私の唇。
全く女子として意識してもらえてないと思っていたのに…
急な展開に頭が破裂しそう。
「目、閉じろよ。」
「えっ、ああ…」
不意に言われて反応すると、その隙にケンイチのキスは一気に深くなってきて…
ドサッと後ろのベッドにそのまま押し倒された。
「きゃっ」
つい、声が出ると
私に覆い被さるケンイチが
「あー、もぉー、だぁーーーーっ、悪いっ」
そう言いながら私の体をぎゅっと抱きしめ反転すると今度はケンイチが下になり私はケンイチに覆い被さる形になって…
「この、態勢…なんとか、なりませんか…」
とてもじゃないけどまともじゃいられないよ。
なのに、
「やだ。」
「は?」
なんて?
「だから、やだって言ってんの。」
「やだって何言ってんのよ。こんなのダメでしょ?」
「なんで?お前、俺の事、好きなんだろ?俺もお前の事、好きだし。しかも、」
ーーーーすげぇ、好き
残りの言葉だけ耳元で言うなんて…ズルい。
最初のコメントを投稿しよう!