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「ほ、本当に?本当なの?私の事、好きって…」
ずっと一方通行の片思いなんだって思ってたし、ケンイチに取って私なんてただの幼馴染み。
兄弟みたいに思われてるって思ってたからずっと…
だから、急に言われても…
「さっき、言ったじゃん。お前の事、ずっと見てたって。ただの幼馴染みじゃなくて女として見てた。お前の事。」
そう言うと私の頭を優しく撫で付ける。
ケンイチの厚い胸板に顔をくっつけられ物凄く早く振動するケンイチの鼓動が私の耳に響く。
「もぉ…、分かりづらいよ。」
「当たり前だろ、分かりづらくしてたんだよ。」
拗ねた声が頭の方から聞こえてくる。
抱きしめられて顔は見えないから言ってる意味が伝わらない。
「なんで?」
「そりゃ、その…」
急に歯切れ悪くなるケンイチ。
「なに?なんか隠してる?」
少し顔を上げ、問いかけるもーーー
「隠してるっつーか、隠せないっつーか…」
モゴモゴと言うばかり。
「なによ、ここまで来てそんな謎かけみたいな言い方は、ないじゃない。ハッキリ言ってよ。」
「分かったって。言う。言うけど引くなよ。この態勢のまま言うのもなんだけど…お前、気付いてない?」
「気付く?何に?」
「俺の変化。」
はぁ…とため息混じりにケンイチが言う。
「変化?」
考えてみても思い浮かばない。
なんのこと?
「ほんと分かんないんだけど、ハッキリ言ってよ。」
こういう所、昔から回りくどいのよね。ハッキリ言えばいいのにさ。
「だったら言う。言えばいいんだろ、はっきりと。俺の下半身の変化。気付けこのバカ。」
そう言うとケンイチは顔を背けてしまった。
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