五月雨(さみだれ)

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「な、なにそれっ。」 まるで梅雨時の空みたいだなって思った。 晴れてたかと思ったら雨が降ってきて、降り続けるのかなって思ってたら急にスカッと晴れて。 まるで、私とケンイチの様だ。 晴れたり曇ったり時々雨に打たれたり。 まだまだ、私達は始まったばかりだけどーー いや、もうとっくの昔に始まってたのか。 気付いてなかっただけで。 「ほら、見ろ。急に太陽が出てきた。見たか、俺のパワーを!」 「はいはい、ご苦労様。」 隣で喚くケンイチを無視してさっさと歩く。 後ろで置いてくなーとか、待てぇーとか聞こえるけれど決して振り向かない、今は。 だって直ぐに来るから、ほらね? 「悪いけどお前と違って俺、足、長いから直ぐに追いついちゃうんだよねぇ。つか、追い抜いちゃうから。」 またまた子供じみたことを言ってるわ。 だけど、これからは少しだけ。 ほんの少しずつだけど素直になろうかなーーー 「じゃあ、遅れないようにちゃんと引っ張っててよ。」 そっと私からケンイチの手を取る。 今日一番の笑顔が目の前に広がった。
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