霖雨(りんう)

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「でまぁ、思う訳よ。あいつの事、こう抱きしめるじゃん?」 身振り手振り付きで話す中川。 「う、うんまぁ。」 「その度に思う訳よ。あー、こいつと一生、離れたくねぇ。ずっとずっとこうしてたいーって。」 体育会系のノリは随分と情熱的なんだな。 「まぁ、そうだよね。好きになると…そうだよね。」 俺だって、ずっとそう思ってた。 中3の一年間、俺のカテキョだった彼女。 俺の一方的な片思いだった。 結局、思いを告げることなく彼女に付き合ってるやつがいる事を知り勝手に失恋した俺。 それきりだった。 それ以来会う事もなかったのに。 なのに、大学に入って始めたバイト先のBARに偶然、客として来た彼女。 忘れたくても忘れられない彼女が目の前にいる。 俺はなりふり構わず彼女に猛アタックした。 そして、 ついに彼女を手に入れたんだ。 今でも覚えてる。 初めて彼女を抱いた時、それまでも適当に付き合った女達とそういう事、散々してきたけど 彼女とのその行為は特別なものだった。 彼女の指先、髪の毛先にまで俺は大切に愛撫した。 彼女が俺に抱かれながら俺の後ろ髪に指を差し込むと愛しさが溢れて壊してしまいたくなるくらい彼女に俺の熱をぶつけた。 ガキ丸出しの愛し方しか出来なかった俺。 結局、彼女を苦しめただけだったのかもしれない。 俺の愛は。
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