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「自惚れかもしれないけれど…、ここに来たのは、俺に会うため?」
カウンターを挟んで目の前に立つ彼の顔を中々見る事が出来ない。
彼が言う通り、そう、私は自分の気持ちを否定しつつ一方で彼に会えるんじゃないかと期待していた。
だからこそ、
この店のドアを開いたのだからーーー
私が黙っていると、
「俺は、会えるんじゃないかって思って今日、ここに来た。」
「えっ?」
「いや、会えるまでまた通うつもりだった。これ以上、後悔しない為にも。あの時、あっさりと離してしまった腕を今度こそ離さないためにも。そして、今日、会えた。」
その言葉に漸く彼の目をちゃんと見る。
「私に…会うため?」
「うん、そう。まさか今日会えるとは思わなかったけどね。」
頬に耳に首にと徐々に熱が集まってくる。
「あの日、別れてから俺、後悔してる。ずっと、ずっと、心に雨が降ってるみたいだ。」
「…うん。」
「もう一度、俺たちやり直せない?ダメ?」
ううん…、ダメじゃない。
その言葉に全てを委ねたい。
今、直ぐにでも。
だけど…
「自信がないのよ。」
「自信?」
「あなたの側にいると自分がどんどん嫌な女になっていく気がして…」
だからーーー
あなたの元を去ったのに。
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