メガネ達

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「なぁ、先生も目が悪くなったらコンタクトなんかじゃなく、眼鏡にしろよな」 「え、ぁあ……そうだな」 ぼくは一生懸命笑顔を作り返事をする。 「そんときは、俺らで選んでやるからよ」 他のクラスメイトたちも、話に加わりさらに騒がしくなる。 「そうだね、その時は相談するよ」 ……言えない。 「おう、いつでも行ってくれ」 言えない。 僕が、コンタクト使用者であり、なおかつ眼鏡をかけるのを正直好まない人間だということを。 僕は平静を装いながら、教室全体にと届くように、声を張る。 「さあ、みんなちゃんと席について、授業を再開するよ」 「「うぃーっす」」 皆やる気のない声で返事をする。 僕はそんな彼らを見ながら心の中で思う。 (彼らが卒業するまでは、ばれないように頑張ろう)
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