5  虹を超えて(続き)

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そうして、予定よりも一時間以上も早く都心を離れた私は、 ふと、ある事を思い付く。 折しも梅雨入り前のこの日は、眩しい日差しにカラッとした暑さの中、 日影が、とても心地いい陽気。 そんな陽気に誘われ、少し浮かれたか。 そうだ。今日は、彼のボランティアの日よね。 ちょっとだけ、覗いてみようかな。 確かに彼は、昔から子供好きなことを口にしていた。 そして現にあの頃、まだ小さかった甥や姪との話を 楽しそうに話していたのは、記憶している。 だが、実際に彼が子供と接している姿を私は見たことがない。 そんな事実と重なり合った、文字通りの「思い付き」に過ぎなかった。
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