第1章

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深呼吸の必要な人 朝起きて、散歩の途中に、天主公園から平和公園の方へ歩き、100段以上ある階段(わたくしはそこを、自己トレ階段、と呼ぶ)をゆっくりと登るが、登りきったところで、太ももの筋肉が悲鳴をあげる。 「僕を苦しめないでくれ、今さら訓練して何をしょうというのか。ボルダリングの選手権かトレイルランの大会にでも出るつもりなのですか」 全くそのつもりはありません。 「ただ、深呼吸をしたいだけなのさ」 いろいろな意味で、会社や家庭やサークルの仲間や人付き合いのなかで、人が集まると目に見えないストレスみたいなものに取り囲まれているかのようです。 ストレスに見えないストレスを、見つけるのは、早く気づくことが必要なのでしょう。 とにかく、深く深く息をして、深呼吸して、新鮮な空気を体じゅうに取り込みたいのです。 冬の12月になった今でも、平和公園の平和記念像を見にたくさんの外国人が訪れます。 大勢の中には、大きな声でスマホで自撮りしている姿を見ると、この場所は平和という言葉の持つ神聖な場所ではないかと思います。 もちろん、観光で来られる方々は大切に長崎での良いイメージを持って満足して、つぎの街へ旅されることを祈念しております。 静かにもの思いにふけりながら、この公園を散歩する、おじさんにとっては、『深呼吸の必要』があるだけなのです。 image=503366491.jpg
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