第一章

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青山は今まで社長に怒られたことはなかったが、覚悟しないといけないかもしれない。 ちらりと山田の方を見ると、彼も神妙な顔をしていた。 恐らく同じように思ったのだろう。 山田に対して肩を竦めた後、社長の後について奥の部屋に入った。 部屋には社長専用のデスクと椅子が一つずつ、来客用のソファと長テーブルがあった。 左右に棚があり、中には会社の書類やビジネス書籍などがつめられていた。 社長のデスクの上には束になった書類が置いてあった。 来客用のソファを薦められ、青山は会釈をしてそこに座った。 青山は半年間この会社で勤務していたが、ここに座ったのはこの会社の面接を受けた以来だった。 不安げな表情で佇んでいると、「コーヒーでも飲むかね」と社長が聞いてきた。 「いえ、大丈夫です。」 断るのは申し訳ないと今回も思ったが、これからの話の内容が気になって仕方がなかった。
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