第一章

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社長は部屋の隅にあるコーヒーメーカーからカップにコーヒーを入れて青山の向かいの椅子に座った。 「そんなに緊張しなくていいよ。そういえば君は面接の時もそんな感じだったな。」 青山は面接の時を思い出す。 確か今よりも緊張していた気がする。 バイトをするのは初めてで、面接で何を聞かれるのかを考え、どきどきした。 「確か契約書に判子を押すときも手が震えてうまく押せなかったんだっけ」 「そうです。結局経理の方に代わりに判子を押してもらいました。」 その時のことを思い出し、青山は赤面した。 「いやぁ初々しいと思ったよ。履歴書を見て、君と話してすぐに採用しようと思った。仕事ぶりは真面目だし、依頼者からの感謝の声も多い。採用して正解だった」 社長は微笑んでそう言った。 「そう言っていただけるとありがたいです。」 お世辞のようなものであるとは思ったが、青山は嬉しくなり微笑んだ。 いつの間にか緊張はなくなったいた。 緊張していた自分に対する社長の配慮であろう。 やはり社長とは人とのコミュニケーションがうまいと思った。
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