第一章

14/35
前へ
/171ページ
次へ
「さてと、そろそろ本題に入ろう。」 社長はコーヒーを一口飲んで机にカップを置いた。 反射的に青山は姿勢を正した。 「今日入ってきた依頼の話なんだがね…。えーと、どこ置いたっけ。ああ、そうだ、あそこにおいたんだっけ」 社長は立ち上がり、デスクの上にある束になった書類を持ってきた。 「依頼人は田中健人くんとその母親で、彼は高校生なんだがね…」 そう言って手元の書類をめくり、依頼人の情報が書かれたページを青山に示した。 高校生、と聞いて授業で出た課題の代行依頼かな、と青山は考えた。 「依頼人に問題はないんだがね…。少し、いや、かなり依頼内容がかわっているんだ。」 青山は眉をひそめた。 どこか社長は歯切れが悪かった。 「学校の授業を代わりに受けてほしい、との事だ。」 「え?」 青山は社長の言ってる意味が一瞬分からなかった。 「依頼人に成り代わって高校で勉強しろ、ということですか?」 「そういうことだ。依頼人の名前で出席し、授業をうけ、テストも解く。クラスメイトともつきあわなければいけないな。」
/171ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加