第一章

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「金額はどうなっているんですか」 少し興味が出て来て青山は前に身を乗り出した。 「こっちで決めようがなかったから、依頼人に聞いてみたんだ。いくら払えますかって。」 青山は相槌をうって、先を促す。 「100万だ。」社長は静かに答えた。 聞き間違いかと思ったが、社長ははっきりとそう言った。 青山は空いた口がふさがらなかった。 「き、期間はどれぐらいですか」 青山の声は震えていた。 青山はこの部屋に最初に座ったときのとは別の意味で緊張していた。 「期間は一応は1ヶ月になっている。依頼人が気に入れば延長するとも言っている。それに、依頼を受けて一週間後に特に問題がなければ報酬の半分は前払いだそうだ。」 半分で50万。その金額だけ聞くとすぐにでもこの仕事にとりかかかりたくなる。 普段の仕事ではこんなに稼げるはずがない。 青山は社長の言った、特に問題が なければ、という部分が気になった。
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