第一章

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社長はしばし、考え込んだ。 これから話すことを整理しているようだ。 しばらくした後、おもむろに口を開いた。 「それらの疑問に答える前に、依頼人の息子、田中君の写真を見てもらった方がいいな」 そう言って、書類のページをめくった。 そのページには印刷された顔写真が2枚たてに並んでいた。 上の写真は依頼人の母親の写真であろう。 年は50代であろう。口をつぐみ、少し表情が暗く、目付きが鋭かった。 視線を動かし、下の写真を見た。 そこで青山は愕然とした。 その写真には自分と瓜二つの青年が写っていた。
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