第一章

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(3) 午後10時30分。 その日の業務を終え、社長と同僚にあいさつをして青山は「株式会社アシスト・ワン」を出た。 3月の中頃であったが、時おり吹く風が冷たい。 駅まで自然と早足になる。 歩きながら青山は社長室での話を思い出していた。 「この依頼を受けるかどうかは君に任せる。この書類に詳細が書いてあるから。」 社長は書類を青山に手渡しながら言った。 「分かりました。正直、受けようか迷っていいます。」 「ゆっくり考えるといいよ。それと、依頼人に会って話を聞くのがいいかもね」 「それもそうですね。明日は土曜日なんで連絡とってみます」 その後社長と少し話をして、社長室を出た。 自分の席に座ったとき、山田から何の話をしたか聞かれたが、適当に答えておいた。 まだ依頼を受けてもないし、べらべらとしゃべるのもどうかと思ったからだ。 それに少し混乱していた。
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