第一章

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ふと現実に戻り、リュックから書類を出した。 ページをめくり、依頼人の写真がのったページを開く。 やはり、似ている。 髪型は青山の方が短かったが、眉、目や口もとなどはそっくりだった。 顔写真なので全身は写っていなかったが、書類に書かれたプロフィールを見ると、身長と体重もほとんど変わらなかった。 田中健人。 16歳。O型。 どうやら血液型は違うらしい。青山はB型だった。 こんなに似ている人がいるなんて、にわかには信じがたい。 ふとある考えが浮かぶ。 この写真は俺の写真を使ってるんじゃないのか? もしそうなら、書類を作ったのは社長だから、この依頼を使って何かしようとしているのか。 考えたが結局何も分からなかった。 どちらにしても依頼人に会えば分かることである。 青山はあれこれ考えるのをやめ、駅へと急いだ。
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