第一章

22/35
前へ
/171ページ
次へ
エレベーターをおり、602号室の前に行き、インターホンを押した。 奥からどたどた、と足音がしてドアが開いた。 立っていたのは依頼人の母親だった。 写真では暗い表情をしていたが、今は笑顔だった。 「さあ、どうぞ。上がって下さい。」 母親について、真っ直ぐ突き当たりの部屋へ足を踏み入れた。 右手には台所で食器類を入れた棚もある。 中央にテーブルと椅子が四脚ある。 テレビも窓のそばの隅に置いてあった。 おそらく、ここがリビングであろう。 左手の壁に扉が2つある。どちらかかが息子の部屋かもしれない。 「そちらの椅子にお掛けください。飲み物はお茶でよろしいかしら。」 青山は「はい」と言って、椅子に座った。 すぐに母親が湯飲みを持ってきて青山の前に置いた。
/171ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加