第一章

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「依頼は了承していただけるのかしら」 母親が向かいの椅子に座ってすぐ聞いてきた。 やはりそこが気になるか。 昨夜電話したときも依頼を受けるかどうかを聞かれたが、まだ考え中だと答えておいた。 「それなんですが… まず息子さんに会って話をしたいのですが」 「あ、そうね。健人の替え玉になっていただくのにすっかり忘れてましたわ。呼んできます。」 青山は母親の言った「替え玉」の部分が気になった。 もっと他に言い方があるだろうに… 母親は2つあるうちの玄関側の扉をノックした。 「健人、会社の方が来たわよ。出てらっしゃい。」 少しして扉から下を向いてうつ向いた青年が出てきた。 青山は思わず立ち上がり、目を見張った。 奇妙な感覚にとらわれた。 そこに自分がもう一人いた。
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