第一章

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鏡でも見ているのか。 華奢な体型も似ている。 これは自分が田中健人と名乗っても分からないな、と青山は思った。 社長のいたずらではなかったか。 何も反応がないことに疑問を思ったのか田中健人が顔をあげ、青山の方を見た。 健人も目を見開き、固まった。 田中健人も青山のことを写真でしか知らなかったのだろう。 しばらくの間、ふたりはお互いをみあっていた。 「本当に似ているわね。双子の兄弟みたいね。あなたもうちの子だったの?」 母親の冗談にどう反応したらいいか分からなかった。 青山は落ち着くために再び椅子に座った。 それを見て我に帰ったのか、田中健人も母親の隣に座った。
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