第一章

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ただ今回はバイトがあったし、彼とはバイトの無い日はほとんど遊んでいたため、今日くらいはいいだろう、と思っからだった。 それにバイトがある日でも終わった後にご飯を食べに行くこともしょっちゅうあった。 一週間に2、3回は同じ学科の友人らと徹夜で麻雀をしている。 どうせ今日もバイトが終わったら連絡もなく家に来るのだろう、と思い青山は内心にやっとした。 講義室の出口を見ると、もう生徒の列は消えていた。 リュックを背負って青山は講義室を出た。 青山は現在九州K大学の二年生である。 この大学は福岡にあり、偏差値で見ると、九州ではトップだった。 九州、少なくとも福岡でこの大学の名を知らない人はいないはずだ。 青山は工学部の環境設計学科に所属している。 この学科では建物の設計図面を描くことが主だが、草木のスケッチをすることもあった。 将来、建築に関係する職業になるためにこの大学に入ったわけではない。 高校時代担任の先生に薦められてこの大学を受けた。 自分の学力を考えると受かるかどうかも微妙だった。 実際、模擬試験の判定結果はD判定で合格率は30%ほどだった。
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