第一章

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教え子の学力を信じたのか、あるいは万一でも有名大学に生徒が受かれば高校の名前がうれる、という考えがあったのか分からないが、担任の強い説得でこの大学を受けることにした。 ここでも、押しに弱い性格が露呈した。 結局は合格して親や高校時代のクラスメイトに称賛されたこともあり、内心ではありがたく思っていた。 青山は廊下を通り棟を出て、キャンパスの正門へと歩を進める。 正門に向かう途中にある広場を通る。中央には円形の噴水があるが、水は出ておらず、周りの水は濁っており藻が浮かんでいた。 大学のホームページにある写真に写っているものとは全然違う。 あのようなきれいな噴水になるのは、オープンキャンパスの時くらいだった。 いわゆる外面用だろう。 青山はそんなことを考えながら、正門を出た。 バイトは午後6時からだった。現在の時刻は午後4時30分。 バイトに持っていく物があったので、一度家に帰る必要があった。 青山は駅の方へ向かった。
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