第一章

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(2) 青山は「株式会社アシスト・ワン」で働いている。 どんな会社か簡単に言うと、小学校の読書感想文、自由研究などの宿題から、大学生のレポート、論文などを依頼者に代わって製作をする、という宿題代行屋である。 最近では、履歴書・志望書、塾や美術教室で出される宿題も引き受けていた。 給料は時給制ではなく、歩合制になっており、依頼をこなせばこなすほど儲かるようになっている。 会社は福岡で最大級の駅である博多駅から徒歩10分の場所にあった。 周りのビルと比べると少し低いが、それでもずっと見上げていると首が痛くなるくらいに高い。 そのビルの3階に「株式会社アシスト・ワン」がある。 エントランスをくぐり、エレベーターで3階に上がる。 エレベーターからおり、右手に少し進み、突き当たりにある扉を開けた。 見慣れた風景がそこにはあった。 デスクが所狭しと並べられており、従業員がそれぞれの場所に座って作業をしている。
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