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ガタン、列車が大きく揺れ男は目を覚ました。
閉め切られた列車の中には、身動きが取れない程多数の老若男女が詰め込まれている。
ピィィィィ――――
列車が汽笛を鳴らす。
汽笛を鳴らした列車は速度を落とす、減速しているのが身体に伝わって来た。
減速する列車はサーチライトで照らされているのか、列車のあちらこちらに開いた小さな隙間から、目が眩む程眩い光が差し込んで来る。
ガタン!!
一際大きく列車が揺れ止まった。
と、同時に列車の扉が左右に開かれ、拡声器から怒鳴り声が響く。
「サッサと降りろ!」
拡声器の音に混じり、犬の吠え声や命令を下す者達の罵声が聞こえる。
男も前の者に続いて列車から降りた。
「もたもたするな!
走れ! 男は右! 女は左だ!」
列車から降りた途端、厚手のマントを羽織った女に鞭うたれ、走る事を強要される。
列車に乗ってきた数百人の老若男女は、男と女に分けられ整列させられた。
整列させられた男女の列の周りには、牙を剥き出しにして吠えつく大きな犬を連れた兵士や、鞭を持った女達が屯する。
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