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外から聞こえる蝉の声がうるさい。
短い命の叫びを聞きながら、ご主人と奥さんは日常のたわいもない会話を始めた。
近所のおじいさんが入院したので見舞いに行くだとか、
夕飯は何にするだとか、
洗濯機の調子が悪いだとか。
『こんなところで何してるんだ?』とは、誰も言わなかった。
高三の夏。
とりあえず決まった進路は
『進学しない』ということだけ。
なりたい職業があるわけでもなく、就職活動にも身が入らず
高二の夏とほとんど同じ夏を送っていた。
だからといって、不安がないわけじゃない。
だけど、私はそんな先の未来より、
明日の方が不安だった。
私はそんなことを考えながら夫婦の会話を聞き、
氷菓子を食べ終わる頃にはある決意を固めていた。
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