別れと出会い-2

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棚の隙間から階段の方を見ると、やって来たのは私の上司でもある製造部の保坂係長だった。 「……お疲れさまです」 私は目を合せないように囁く程度に言った。 背筋に……冷たいものが走る。 急いで手元の品番を確認し、並んでいるビスの箱の品番と照合する。 一文字ずつ確認して箱を手にすると、振り返る間もなく背中から衝撃を受けた。 その拍子に悲鳴をあげそうになるのに、叫び声があがらないのは 私の唇が彼の手で塞がれていたからだ。 「ここに降りて行くのが見えたから」 熱い息を含んだねっとりとした声が耳元で囁いた。 私は思わず首をすくめて身震いした。 「いい加減俺の気持ちに応えて欲しいな」 「離してください!」 私は思いきり彼の身体を振り払おうとした。
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