別れと出会い-2

16/28
前へ
/28ページ
次へ
それに気づいた時、 私は呆れると同時に疑問を抱いた。 薄暗いコンクリートの壁に囲まれながら彼とはできるだけ距離を置いた。 「どうして……私なんですか?」 「どうしてって……」 のん気に答えようとする彼の態度こそ、私の考えが正しいことを証明していた。 「なんでかなぁ……?」 保坂係長ははぐらかすように適当な返事をした。 そして、悪びれる様子もなく淡々と話を続けた。 「セックスレスだよ。セックスレス」 私は冷めた視線を投げて、彼にもわかるように大きなため息を吐いて見せた。 「子供ができた途端、全くだよ。今じゃ俺が触ることも毛嫌いしてる。そんなの見てたら今度はこっちも冷めてきたんだよ。やっぱり女は若いだけじゃダメってことだな」 彼は吐き捨てるように言うと、口元を緩ませて私を見た。 「……そう思ったら、君がえらく魅力的に見えてね」
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

572人が本棚に入れています
本棚に追加