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杉本モータースの目と鼻の先にある広場に工事用のフェンスが建ち並び、その敷地が徐々に拡張されていった。
いつの間にか出没した巨大な空間を私たちはまるで蜃気楼でも見るかのようにぼんやりと眺めることしかできなかった。
けれど、そうやって見つめていると悪い予感だけが募り、
見慣れた風景に浮かんだ異空間がポッカリと口を開け、
自分たちを飲みこもうとしているように思えて仕方がなかった。
そのうちにトラックの出入りが激しくなり、
毎日騒音と共に煙のような土埃をまき散らしていた。
顔を背け、耳を塞ぎながらの生活が始まり、四ヶ月ほど経って土埃が消えると、
代わりに現れたのはまるで模型のような大型の箱型店舗だった。
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