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浴室から出ると、濡れた髪を拭きながら冷蔵庫から缶ビールを取り出した。
プルタブを開けて口をつけるとよく冷えた苦味が喉を滑るように落ちていく。
鼻から深く息を吸い込み、口から一気に息を吐き出した。
少しずつ気分が鎮まると、なんだか菜々美と話したくなり、私はタオルを首に掛けたままスマホを手にした。
電話の呼び出し音はしばらく鳴り続けた後、定型のアナウンスに繋いで途切れた。
『只今電話に出ることができません』
予想通りとはいえ、ため息が漏れた。
スマホをテーブルに置いて、再びビールに口をつけるとテーブルの上でスマホが振動した。
私は大人げなく飛びつくようにスマホを握った。
『お姉ちゃん?』
「うん、ごめん、忙しかった?」
『うん、まだ店で特訓中』
サロンには他の店員もいるのだろう。
菜々美の言葉に他の店員の笑い声が混じった。
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