第3話【別れと出会いｰ2】

別れと出会い-2

職場は今までの工場(ｺｳﾊﾞ)とは違って、大手企業の下請け会社に当たる自動車電子部品工場だった。

従業員も１５０人以上が在籍する大きな工場だ。

工場を拡張したばかりの電子部品工場は人手を早急に欲しがっていたので、面接後すぐに採用になった。

採用の連絡を受けた時は

私よりも杉本夫妻の方が喜んでいた。

もちろん、私も嬉しかったけれど、

就職が決まったことよりも、

夫妻の負担が一つでも減るのかと思うと、

そちらの方がうれしかった。

新しい職場は規模も仕事内容も今までとは全く違ったけれど、

【自動車】

その単語だけで、夫妻と繋がっていられるような気がしてなんとか頑張れそうだった。

何より、夫妻が私のために苦境の中で繋いでくれた就職先だ。

私は前向きに取り組むことにした。