一夜

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「やめない。カコ、いい匂い……」 「……カコ?」 「美香子のカコ」 私は初めての呼び名にくすぐったくなって笑ってしまった。 「じゃあ、あなたは……ガクね」 「へえ……。いいよ、カコの好きにして」 「わかった、好きにする」 私は彼の鼻の頭を指先で撫で、もう一度知ったばかりの名前を呼んだ。 「ガクちゃん……」 すると、彼はさっきよりもさらに照れくさそうに笑った。 「……ちゃんかよ」 そう言いながらも決して嫌そうではない。 自己紹介を終えた私たちは再び唇を重ね、同時に笑った。 そして、もう一度最初からセックスをやり直した。 熱いキス。甘い愛撫。 行きずりの二人は長い間会うことを待ちわびた恋人のように、激しく、優しく溶け合った。 「ガクちゃん……」 私は両手で彼の頬を包み、背中を撫で、唇をついばんで彼を呼んだ。 「カコ……」 彼が私を呼んだ直後、私たちは再び果てた。
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