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こうして、彼は週末にふらりとアパートに現れるようになった。
だけど、私たちの間に約束はない。
彼は一週間後に来ることもあれば、二週間以上空くこともあった。
三週間現れない時は、もう二度と会えないかもしれないと不安になった。
そんな曖昧であやふやな関係は普通の恋人同士とはもちろん違う。
わかっていたつもりだったけど、私がそれを確信したのは、彼から初めて「デートしよう」と、誘われた時だった。
「……え? いいの?」
嬉しいはずなのにどこか戸惑っていた。
半信半疑だったと言ってもいい。
「ん、カコどこ行きたい?」
「ガクちゃんとならどこでも」
「んじゃ、旨いもの食って、どこかで一泊してくるか」
「……ホントに? ホントにいいの?」
私は信じられずに何度も彼に確かめた。
「ああ、ホント」
彼は笑顔を見せて肯定した。
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