二度目の夏

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私はベッドから紙袋の中に視線を移した。 「ガクちゃん、これ……?」 私は真っ先に目に飛び込んだ白い花の束をそっと取り出した。 ベッドでは私の声に反応して彼のまどろみかけた脳が何とか身体に指令を送り、わずかに頭を持ち上げて薄目を開く。 「……ああ、それ、花嫁のブーケだって」 「ガクちゃんが……もらったの?」 「そ。嵌(ハ)められたんだよ。ったく、かっこわりー」 彼は舌打ちをしながら頭を枕にドスリと埋めた。 私は会場でガクちゃんがブーケを手にする姿を想像して思わず吹き出した。 「すっごく注目されたんじゃない?」 にやけた口元が戻らない。 「注目どころじゃねーよ。笑いもんだよ。笑い者」 「いいじゃない。みんな楽しめたでしょ。それにラッキーだよ。男の人がもらえるのって滅多に聞かないから」 「別に欲しくねーよ」 彼は頭の下で腕を組むと、そのまま壁を向くように寝返りを打った。 「ガクちゃん、次に結婚できちゃうかもね」
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