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「なんでだよ?」
俺はその意味がわからず聞き返した。
「何でって、あんなデカい会社の息子がよく言うぜ」
「俺と会社は関係ない。兄貴がいるし」
「けど、それなりの女じゃねーとダメだろ?」
「ダメじゃねーよ」
「お前がよくても家はうるさいだろ?」
「……そんなことねーよ」
「へえ。ものわかりのいい親でよかったな。まあ、自分のとこが金持ちだから相手がどんなんでもカンケーねえのか」
友人は間違った解釈をしてそのまま納得してしまった。
「結婚かぁ……」
少しばかりのため息をまぜながら、友人は身体を俺に向けたまま、首だけを新郎新婦が不在の高砂席に向けた。
二人はお色直しのために席を外している。
「したいような……したくないような。学はいるのか? そういう相手」
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