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◆◆◆
「ごめんな、カコ……」
ベッドの中で行為が終わって間もないところだった。
ガクちゃんが私に謝る。
理由は今も鳴り続けている彼のスマホだ。
バイブレーションに設定した彼のスマホは行為の間も幾度となく震えていた。
細かい振動音は金魚の酸素ボンベの音に似ているけれど、その音にかき消されることもなく、妙にその存在を主張していた。
私の身体はいつものように彼のすべてに反応し、自分の鼓動の激しさにのまれそうになほどに昂ぶるのに、
そのバイブ音が耳につく度に、かろうじて残る意識がそちらへ傾いていた。
けれど、私の身体の変化を敏感に感じ取った彼は、
いつも以上に丁寧に深く身体を運び、私を高みに昇らせてくれた。
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