469人が本棚に入れています
本棚に追加
ガクちゃんは私の制止も振り払い、カードで支払いを済ませると大きなロゴの入った紙袋を肩から掛けた。
「カコ、他に何見たい?」
私は激しく首を横に振った。
「もういいよ。ごめん、ガクちゃん。ワンピース……ありがと」
「いや、いいけど。せっかくだから他にも見れば? 靴とか、バッグとか」
私は先程と同じ動作をして、「帰ろ」と呟いた。
「帰らないよ。夕飯外で食べるまで。ブラブラするけどいい?」
「……うん。あ、なら……」
「ん?」
「ボディクリーム……欲しいんだけど」
ボディクリームだけは贅沢をしてもいいのだと、ガクちゃんとこういう関係になった時から決めている。
「了解。だったら下の階か……」
私たちは案内図で現在地を確認すると、下りのエスカレーターに乗った。
最初のコメントを投稿しよう!