足りない酸素

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ガクちゃんは私の制止も振り払い、カードで支払いを済ませると大きなロゴの入った紙袋を肩から掛けた。 「カコ、他に何見たい?」 私は激しく首を横に振った。 「もういいよ。ごめん、ガクちゃん。ワンピース……ありがと」 「いや、いいけど。せっかくだから他にも見れば? 靴とか、バッグとか」 私は先程と同じ動作をして、「帰ろ」と呟いた。 「帰らないよ。夕飯外で食べるまで。ブラブラするけどいい?」 「……うん。あ、なら……」 「ん?」 「ボディクリーム……欲しいんだけど」 ボディクリームだけは贅沢をしてもいいのだと、ガクちゃんとこういう関係になった時から決めている。 「了解。だったら下の階か……」 私たちは案内図で現在地を確認すると、下りのエスカレーターに乗った。
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