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私は無意識に時計を確認した。
日曜の夜、菜々美も仕事が一段落した頃かと思うとなんだか私までホッとした。
「もしもし、菜々美?」
『あ、お姉ちゃん、元気?』
久しぶりに聞く菜々美の声は明るかった。
「元気だよ」
『ホントだ。今日は本当に元気そう』
私がどんな時でも「元気」だとか「大丈夫」と言うクセがあることは菜々美にはもう見抜かれているようだ。
『彼氏のおかげ?』
電話の向こうで菜々美がニヤリと笑った。
「違うよ。そういう人はいないの」
『そうなの?』
「そう。そういう菜々美はどうなのよ?」
私は話を菜々美に振った。
私にとって、相談相手と呼べる相手は菜々美しかいなかったけれど、菜々美にだからこそ話せないこともある。
すぐに菜々美からの反応が返ってくると思っていたのに、予想外に沈黙になるので私は面喰った。
「……菜々美?」
私が首を傾げながら菜々美を呼ぶと、一息置いて菜々美が口を開いた。
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